世阿弥作 能 「実盛」。今、お謡お稽古中。
斉藤別当実盛は討死して2百年後に、遊行上人によって成仏できたのだと、単純に思っていた。しかし、“現実”(?)の実盛は、未だ成仏に至っていないらしい。こんな難しい旋律と言い回しのその先は、まだ彷徨っている状態なのかと、なんだか複雑・・・。世阿弥は、どうしたかったのだろうか。
うつぼ舟 III 「世阿弥の神秘」 梅原 猛
p. 198〜 III 世阿弥の修羅
第1章 「実盛」・・・虫になったサネモリさん
実盛は、稲の害虫になった。 ある伝承では、実盛は稲の株に足を取られて転び討たれたとか。「サネモリさん」は、虫送りの行事のようだ。排除され続ける存在。
更に、アイ狂言のひとつに、謡のように黒髪が討ち取った人に洗われて白くなったのではなく、水辺に討ち捨てられ、そこで水に落とされて白くなっているのを発見された、というのがあるそうな。整合性に欠けるところが不気味。なんと、哀れでおどろおどろしいこと。
また、藤沢の遊行寺(清浄光寺)の上人様は、梅原猛によると、現在でも代替わりの時に、実盛に因む小松の多太神社にいらして、清め?鎮魂?が続いているとか。
その表現は、梅原氏の解釈なのか、好みか・・・?
こちらでは、無事成仏。
多太神社 http://www.tadajinja.com/index.html
遊行上人 http://www.tadajinja.com/yugyou01.html
実盛 http://www.tadajinja.com/sanemori01.html
遊行寺 (清浄光寺) http://www.jishu.or.jp/
ところで、梅原猛の「うつぼ舟」全3巻は、I巻とII巻の文は主張の繰返しが多く閉口したが、IIIはお能の曲に添ったものなので、まあ普通。やれやれ、というところ。