短歌ライブ

新宿に行って参りました。進行方向の小路に入ってP探し。わっ、歌舞伎町! 昔、ミラノ座とダンスホールがある一角があったけど、今もあるかしらん…大画面になって健在らしい…


短歌の戦前・戦後・現在。よくわからない部分もあったが、解説書でなく、歌人自身の発言は具体的で現実味があった。


これからの短歌
◆水道の蛇口ひねればひた奔るホースの中の水の先端  風間博夫
すごーくよくわかる。最近ストッパーのみならず、お仕着せの散水バーション選択付の先なので、水撒きも冷静になってしまった。
◆こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう  枡野浩一
とにかく有名。すごい今日と、字数が合っているところが面白い。
◆次々に走り行く自動車の運転する人みな前を向く  奥村晃作
すごーくよくわかる。行き合っても、すれ違っても異次元なのだ。回りは道路の一部
◆宿無しの吾の目玉に落ちて来てどきりと赤い一ひらの落葉  山崎方代
初めて「赤き」でなく「赤い」と表現した歌だそうです。戦傷が元で目が不自由になった方ということを知らなくても、思わず一緒にどきりとします。
◆橋桁にもんどりうてるこの水はくるしむみづと決めてみてゐる  辰巳泰子
思う目を見ている目。いえてる!


水は荒乗りに夢中かもしれない。ディズニーの漫画だと、飛び上がったしぶきが手の形になって、見ているミッキーの鼻をパチンとはじく場面。。。などなど映像化していると、
狂歌のおすすめ。
◆歌詠みは下手こそよけれ天地の動き出してたまるものかは  宿屋飯盛
古今集仮名序。諧謔って教養がいるなぁ。。。


辰巳泰子 セイレーン朗読。
独唱で始まりました。戦場で死んだ○○があとに残すものは何…という感じ。谷川俊太郎だそうです。
愚か者セイレーン、眠れない夜を越えて、ジハード、哀傷歌、どれも蘇る。リズムある言葉の記憶ってすごい。
◆細りゆく乳房をそっとわしづかみ 眠ってしまふ 眠ってしまへ
個人的には、どうも自信がちらちらするようで…。
◆皆さんこれが<無辜の民>です電源を切った画面に映し出される
思わず吹き出しそうになった。いつにも増して可笑しかった。
◆おなじ死ぬとしてもこの傷に死んではならぬといふ傷がある
やっぱり、いいなあ。
◆かきつばたまっすぐに伸びよ伸びなさい おまへは烏なんかぢゃないよ
今までさほどでもなかったのに、今日耳で聞いたら、ほろりとした。


あれこれ面白かったが、素人の野次馬としては、歌人が歌を作る過程を覗き見たい! そこをライブとは言わないのかにゃん。。。
発行元・邑書林の島田牙城さんは、俳句界に殴りこみをかけた?というネット上の情報の印象より、お若くて華奢でした。もっと、ごついおじさまかと…。


短歌はますます自己体験的「肉声」に進むのだろうか。
生けた花の名を詠む、聞いた香の名を詠むとき、趣向を楽しむだけでなく、歌として何とかならないものかと思うが、この雰囲気で試作したり詠み合う場所がない。“花鳥風月”にこだわると、おっそろしい古歌の会になるし、空ごとを軽蔑すると、他人の人生をえぐるような会になるし、「軽く体裁よく大ウソでない歌の会」って、ないものか。


ライブハウス・ネイキッドロフト、ほんとに街路樹のポプラ?の葉っぱが風で吹き込んできて、詩的でなかなかいい感じ。今の季節でよかった。「ロフト」なので上を見ながら探していたら、歩道の続きであった。