相生 あいおい

某禅師のお茶杓、銘「相生」の説明が、「黒松と赤松」だった。


能「高砂」では、高砂の松と、住吉の松とで「相生の松」であるが、黒松と赤松が1本になっている「相生の松」というのがあって、実際にどこかの史蹟で、寿命が尽きたのを別な松に置き換えて「歌枕」の面目を保っている所があるらしい。わざわざ1本に仕立てたのだろうか。業平をはじめ、多くの歌に詠まれているのは、初代「男松・女松」なのだそう。


松は翠か、緑か。
「緑」は律令の“卑官”の色で、深緑は六位、浅緑は七位。「緑の袖」の悲嘆、愁嘆の歌が大量にあるとか。「高砂の尾上の松」も、憂悶を秘めていた!とは、「千年の翠」からは程遠い松のイメージ。
百人一首にある「誰をかも知る人にせむ高砂の松も昔のともならなくに」(古今集)も、意味深な歌だったのですね。