白洲正子の文を、写真集の中にはめこんだ現代版に感心した。「謡蹟めぐり」のシリーズといい、「焼き直し」の利く力作の威力まざまざ。
10日(水)の囃子科協会能の国立能楽堂のロビー(自称・広縁)は、能楽書林。
「白洲正子と楽しむ旅」
白洲正子 光野 桃 青柳恵介 山崎省三
新潮社 とんぼの本 2003.8 発行 2006.6 2刷
かくれ里、近江山河抄、西国巡礼…、西行、明恵、それぞれの主題のストーリーは味わえないが、白洲正子が散りばめられており、当時と現代の写真が楽しめる。もっと地図を載せて欲しかった。
琵琶湖の遠浅の豊かな水辺に驚いた。堤になったコンクリの道のすぐ下に湖があるのではなく、なだらかな浜が水に続く烟るような景色。「淡海」あふみ、が数十年前まではあったのだ。
「お能の見方」
白洲正子 吉越立雄
新潮社 とんぼの本 1993.7 発行 2007.5 22刷
既にこの本の改訂版が2008年8月に出ていることがわかった。在庫処分に貢献してしまった。
文と写真が近くに連携しているので見やすい。面がよくわかる。お囃子の○○さんにもお若い頃があったのだと妙に納得。茶道のお点前集の業躰さんの若かりし頃と同じ。
なんだか、能楽堂で目新しい本がなくなって、写真集を見るようになった。