和琴 わごん

「大宮八幡宮の杜 薪能」の「火きり」(火きり杵で火をおこす)の儀式に「和琴」 わごん のBGMがありました。琵琶のように、糸を順にかき鳴らす奏法。写真はリハーサル、マイク・スピーカー調整中。音量は小さいということでしたが、近くでは立派に響いていました。


どころで今、国立能楽堂 展示室は、復元平家納経、平家物語に因んだ楽器、面、平家物語の琵琶の手付語り本などなのですが、大変面白かった。経正…「青山か?」という琵琶、敦盛…「小枝」と同型の高麗笛こまぶえ、小督こごう…和琴。
小督が弾いていた「想夫恋」は雅楽の曲で、雅楽の筝は6絃の和琴。太い紐に結び付けて糸を張り、ほそい柱の小型のお筝(のような琴きん?)。このお琴で、馬上の人が探し当てるほどの音色を奏でていたのかと、感無量。小督の故事に因んだ「黒田節」酒は呑め呑め、とは全然違いますを十三絃の筝そうで奏でることはあっても、小督自身の楽器や音色は違うということに気がつきませんでした。


で、今日、火入れの神事関係で、まったく同じ型のお琴に遭遇したのでした。以前の薪能の時のお琴と違うように思いますが、よくわかりません…昨年は琴柱がない七絃の琴(きん)であったような…。今日はまさに、能楽堂展示室の和琴。弾き方はアルペジオ(分散和音)。今日のBGとしての演奏でそうなのか、そのように弾くものなのか、どうなのでしょう。想夫恋もアルペジオなのでしょうか。


和琴の掻き鳴らす音色を聴いて初めて、『峰の嵐か松風か』邸の外にかそけく漏れ響く形容が実感できました。単音だったら聴こえないでしょう。明石上の琵琶も、須磨に寄せる波のように響いたのかしらん。
若紫の源氏も、小督も、古代人である尺度はお琴の型、という感じ。