「航路」

「航路」 上・下   コニー・ウィルス著  大森望
                  ヴィレッジブックス ソニーマガジンズ
航路〈上〉 (ヴィレッジブックス) 航路〈下〉 (ヴィレッジブックス)


既に絶版なのか、古本しか見つけられませんでした。上下それぞれ厚さ3cmの文庫本。斜め読み部分あり。検証を積み重ねて結論を導くのに必要な場所であったかもしれないが、とてもとてもお付き合いできる文と量ではない。


下巻、
臨死体験は、自己の終焉を察知した脳が出来得る限りの全方向にSOSを発信する、その心臓に向かう脳派が見せるものである、
脳からのSOSを観測して“ある物質”を投与すれば、死を免れる……という未来物のもよう。


肉体の死なのか、脳死のことなのか、斜め読みでは不明。(心肺停止した人を蘇生させる、ということであった。)既に10年前の小説なので、科学の現実に近いのか離れているのか、知りたい所。
この本の特徴は、同じ被験者を臨死状態にして調べ続ける、という事で、臨死状態にするという状況自体に疑問を感じると、小説の意味は無くなる。被験者の見る映像がタイタニック号なのかどうかについて、延々と続くところがすごい。
主人公が死をもって残したものの価値。また(ぱらぱらと)読んで、小説の意図する所を探ろうと思う。


★4月11日、下巻の再読終了。初回より面白さが増し、省略することなく全て読んでしまいました。“心臓疾患少女”がなかなか傑作で、好きになりました。本当に『敵ながら天晴れ』!