能「大江山」

能楽協会主催、納涼能。国立能楽堂、2時半から6時半過ぎまで。


◆能「大江山」、初めての鑑賞。面白かった。
山伏姿の頼光(森常好)一行は、お約束の四天王と独武者(舘田善博)がにぎにぎしく勢揃い。酒呑童子の鬼(金剛永謹)は地面に伸びてしまうし、さらわれた女子(善竹富太郎)は子連れ予定で頼光一派の強力 ごうりき 姿の男(善竹十郎)と、いそいそ再婚に向かうし、まさに、お楽しみ能。一曲目の能「半蔀」(梅若玄祥)と対照的。


酒呑童子は、大きな杖(鹿背杖かせづえ?)を突き、静かに重々しく寂しげに、現れた。杖の後は唐団扇で、ガイジンだったのかとびっくり。もともと比叡山に代々住んでいたのに、伝教大師の開山で明け渡したと語っていた。都の鬼門を守る延暦寺は、まつろわぬ氏族の類を一掃する役目も果たしたのか。5〜60年前のアイヌ民族の置かれた状況をみても、日本の歴史は、かなり遅くまで、ヤマト以外の色々な氏族部族を排斥し続けていたようだ。
比叡山の開闢には、能「白髭」も関係あるらしい。まだ観たことがない。


◆仕舞「雲雀山」(金春安明)の地謡が一番よかった。本田芳樹・本田光洋・吉場廣明・中村昌弘。


狂言蚊相撲」、おもしろかった。
 大名…三宅右近  太郎冠者…三宅右矩  蚊の精…高澤祐介


始めから蚊の面(うそ吹き?)で登場し、吸血ストローだけその都度着用。チクンと刺されただけで、大名が貧血を起す発想がすごい。巨大な渋団扇が登場する写実的な演出。ふわふわと風に流される蚊を狂言にしてしまうなんて、素敵だ。江州守山はかつて蚊帳の生産地であったらしいが、どうも蚊の多いところのように聞こえてしまう。どうなの?
大名の直垂は、橋の上に花火がたくさん華開いている意匠! 右近さん、以前より明るくなったような…。


右矩さんの「釣狐」を是非拝見したいのだが、もう終ってしまったのだろうか?情報を得る方法がわからない。