国立能楽堂定例公演

■ 狂言 和泉流 「水汲」
   シテ・新発意…野村萬斎  アド・いちゃ…高澤祐介


いちゃの水汲み歌が、しんみり静かなのが意外だった。新発意(しんぽち)が扇を顔の前にして、右や左に輿をかがめて行ったり来たりしているのは、いろいろ様子を覗いている、ということなのだろうか。うっとりして浮かれているところ?


■ 能 金剛流 「鉄輪」
   シテ・女・女の生霊…松野恭憲
   ワキ・安倍晴明…江崎金治郎
   ワキツレ・男…江崎敬三  アイ・社人…石田幸雄
   笛…内潟慶三  小鼓…柳原冨司忠(ふじただ)
   大鼓…内田輝幸  太鼓…徳田宗久


上がった幕の奥に女の姿が見えたとき、斜めにふてぶてしくこちらを向いていたので、そーなの、と感心した。まこと、橋掛りは幕の奥から始まり、幕の奥で終るんですね。(拍手はそこの所を考えるともっと雰囲気よくなるかもね)


生霊の額は怒りで白化して盛り上がり、底は火山か?顔色は低温状況、表情はガンダムのモビルスーツ的超現代の雰囲気…美人の基準は時代で異なるが、怨みの表情は同じなのだろうか。


よく「鉄輪」は庶民の女の下品な姿、のように言われるが、具体的に舞台の表現はどうなのか、いまいちわからなかった。今日は、幕の向こうから歩き始めの1〜2歩で、わっと感じた。これは観る席の角度が影響している感じ。歩く所を横から見たのでは、きっとしばらくわからなかったと思う。
国立能楽堂のプログラムの「鉄輪」の所蔵の絵は、緋の長袴に檜垣の摺箔の裸形の鬼女で、宇治の橋姫そのもの。今日は、ぎらぎら鱗のきんきん具合が、いかにもという感じで最高。


<今日の教訓>
普段から左右の足の隙間に気をつけなくちゃ