百人一首コンサート

< 小倉百人一首プロムナード 〜最終章〜 >
市川市文化会館小ホールにうかがって参りました。

★一部 対談 百人一首と能

  松平盟子: 与謝野晶子研究家、国立劇場文楽専門委員
  井上真也: 喜多流能楽師


本日のコンサートの76番〜100番の中でどれが好きか、
松平さん…「長からむ心も知らず黒髪の…」待賢門院堀河
井上さん…「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば…」式子内親王
一番は今日の部分にない歌が好き、とかの後、舞台に演能の映像が映され、お能の種類や面などの説明。その後、「熊野」(湯谷)の「ただ頼めしめじが原のさしもぐさ」があるあたりなど、他2曲の中の和歌のある謡をご披露。面白かったのは、和歌から新作能を作るとすると、その歌自体で完結してしまっているものより、情景が浮かぶような歌が取り入れやすい、と例を引いてのお話し。(帰宅したら歌忘却)

★二部 競技かるた

  渡辺令恵(ふみえ): クイーン獲得通算14回、永世クイーン
  秋本和美: 早大かるた会所属、A級4段
  読み手…加藤温女(あつめ): 千葉しらつゆ会副会長


スポーツ。激しい。札が飛び、並べ直す。畳を叩いたり頷いたり、ウォーミングアップと集中。舞台に一段高いお座敷を作っての実演。手元の映像が映る。空札は心臓に悪そう。

★三部 小倉百人一首コンサート

  作曲: 伊能美智子 (Mr.伊能は伊能忠敬の子孫)
  ソプラノ: 木村珠美  堀野直美
  ピアノ: 加藤裕穂(ゆうほ)  伊能美智子
  合唱: 東京混声合唱団


76〜100番歌まで、混声、独唱、男声、女声、無伴奏などなど、構成の変化がなかなか工夫されていた。
3曲目「あわあわあわあわ」と繰り返されちょっと笑った。「淡路島かよふ千鳥の…」でした。各パートの掛け合いの言葉の反復に、寄せる波の白い花が揺れるようだった。
「村雨の露のまだひぬ」はソプラノ無伴奏で、コロラトーラのセヴィリアの理髪師的華麗なるカデンツァがころころと、おもしろかった。
男声だけ、女声だけの合唱がそれぞれ綺麗な響きで心地よかった。女声の「…綱手かなしも」の余韻が印象的。「花さそふ嵐の庭の雪ならで」の繰り返しも見事で、吹き返す風に無心に散り続けている感じ、お能の「雪」の雰囲気。
「風そよぐならの小川の夕暮れは」は、思いのほか、おどろおどろしい音で、黄昏時の魔の感じ。
終わりの順徳院の「ももしきや古き軒端のしのぶにも」は、混声とソプラノで、指を鳴らすところがあったり、にもかかわらず、静かな終わりでした。


アンコールの「こいすちょう」と「忘らるる身おばおもわず」は、それぞれのソプラノの方の熱唱で、音の終わりの表情と手の表現が見事でした。オペラのように、観せる歌。「古への奈良の都の八重桜」はオールキャストの上、なんと、観客も歌う練習をさせていただきました。『お持ち帰りのおみやげ』 です。100曲のうち、一番旋律が簡単なのだそうですが、F#で音は飛ぶし、分かりにくかった。「かなーーーーー」と超長いのがユーモラス。楽しゅうございました。
『小倉百人一首プロナード最終章』に間に合ったタイミングが不思議です。