印税貢献 方丈記

徒然草の4分冊にげんなりして、これは1冊ということで購入。中世文芸を「理」「遁世」から見る。それを品質の条件とも述べている。過去を振り返ることが『未来を見通した現在をどう生きるか』ということに結びついているところに意味があるそうな。必然的に新古今の評価は低く、定家は自分自身のものを打ち立てなかった人ということになる。
本歌とりの歌も技巧もなかなか面白いのではなかろうか。美意識の水準に「自分自身」がある、と思う。鴨長明の歌というのは、言葉が発音しにくくて、暗い。その過去から逃れて、やがて方丈記の終わりの部分に至ったわけにゃ。
出家をしてみても悩みや雑念でなかなか思うように逃れられないが、哲学者・西田幾太郎の『それが出家の値打ちさ』というのがおもしろかった。ま、孤高・閑居でうつ病にならなかったのがすごい。
「大原」という場所の特徴もわかってよかった。お能の「大原行幸」のときに薀蓄たれたれする楽しみができた。うっふっふ。