海人の綱

遂に「海人」の「玉之段」、胸を切って、綱の合図をして海上に上がるところ、経験第一歩。
歌舞伎なら本当に綱が現れて引き上げそう。お能は、自分が縮んで伸びて上がるのでした〜。以前拝見した、扇の綱につかまり、きりきりと回りながら上っていくのは、金剛流豊島家の最近のご先祖の工夫なのだそうです。観能記録によると、
  2005年9月23日(金・祝日)
  国立能楽堂 企画公演 特集「女人成仏」
  金剛流[ 海人 ] 小書 変成男子 へんじょうなんし
  シテ・海人/龍王…豊島三千春


にて目撃。先程までの刀が、今度は綱になって、回転しながら上って行くところに感動。胸を切って宝珠を入れたその痛々しさが、つかまりながら回って少しずつ上る度に響いて、海人の固い決意が伝わってくるのでした。
で、そのあと、「変成男子」にびっくり。どーして中年くらいの男子ではいけないの?いきなり極端ではないですか〜!? あの大感動の海の母が、こーんな真っ白の、大きな杖を突いた恐そうなおじーちゃまになるなんて、がっくりの100乗。法華経の女人が成仏するとき、その格が上がれば上がる程、“すっげーじーちゃん”(ドラゴンボール用語)に変身するのでしょうか…。やっぱり、華麗なる龍に変じたところがいいなあ…。女子→竜→男子→成仏 な〜んですって。


改めて舞台を思い出してみると、あのギャップも、結構楽しく思えてくる。何でもご馳走さまーと頂いておくべし。


ところで、お能と狂言の「杖シリーズ」面白いかも。