砧 きぬた

「砧」のお稽古に入りました。
お能の「砧」のツレの侍女・夕霧とは、何なのでせう?
砧とは?擣衣(とうい)とはなんぞや?どんな音がするのでせう。


http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/kanehusa.html
永承四年内裏の歌合に、擣衣をよみ侍りける
  うたたねに夜や更けぬらん唐衣うつ声たかくなりまさるなり
                          (後拾遺337)
【通釈】
転た寝するうちに夜が更けてしまったのか、カラコロと衣を打つ音がひときわ高く聞えるようになった。
【語釈】
擣衣…布に艷を出すため、砧の上で槌などによって衣を叩くこと。
唐衣(からころも)…もともと大陸風の衣裳を言うが、のち衣服の美称としても用いられる。
◆擣衣の音は「カラコロ」と聞えるので、擬音が掛詞になっている。
 「きぬたうつ音はからころ唐衣ころもふけゆく遠の山ざと」 大田垣蓮月


http://homepage3.nifty.com/bunpou/2001H12.htm
ある人の仰せられ侍りしは、「擣衣の歌は、うぐひすの声、琴の音にもまさりて、やさしく聞き所など侍るに…」


http://www23.big.or.jp/~lereve/saijiki/131-2.html
木綿や絹を纏えたのはごく一部の特権階級の人々に過ぎなかった。民衆の衣は、長いこと麻や楮(こうぞ)、藤、葛(かずら)など、 樹皮からとった繊維を織ったものであった。それらを蒸し、さらに川で晒し、紡いで織ると、繊維の太く、布目も粗いごわごわした布が出来上がり、これを打ち柔らげるためにとんとんと叩くことを総して砧といった。(木を輪切りにした台の上で、槌で打つ。)
木綿織でも粗い糸を用いる手紡ぎ、手織りの行われた地域には砧は長く残り、大正時代迄は各地で砧打が見られた。


http://www.digistyle-kyoto.com/community/shop/shops.php?dispid=17
和菓子の「砧」は、切り株のような「台」を表わしています。


http://www12.ocn.ne.jp/~hajime-1/note/been-know/BK022/Bk022-kinutaseiji.htm
砧とは石や木の台のこと。ひいては、その砧を打つことも、打つ音のことも「砧」という。


青磁
世阿弥作の能『砧』のシテが手に持つ槌の形に、往時有名であった龍泉窯青磁の花瓶が似ていたため、それを「砧青磁」というようになった。
以後、それに類する青磁を「砧手」といい、龍泉窯青磁の上手物の代名詞になっている。


http://www23.big.or.jp/~lereve/saijiki/131-3.html
洗濯する度に固さが戻ってしまう衣を打ち柔らげることは女性の大切な仕事の一つであった。稲刈りも済むと農作業もひと段落し、冬支度に向かう。秋の夜にはあちらこちらから砧を打つ、もの寂し気な音が聞こえてくるのであった。夫をどこかに旅立たせて孤閨を守る妻が思いを込めて打つ音は、怨嗟すら漂わせ…。


美称「唐衣」にたとえても、「哀しい音」であるらしい。


砧・砧物>  goo辞書
地歌(唄)・箏曲で、ゆるやかな二拍子を繰り返す砧という手を特徴とする一連の曲の総称。地歌に「三段砧」「四段砧」、箏曲に「五段砧」などがある。


世田谷区砧は、砧の音が響く鄙ということ?