C56形160号機

5月15日(日)、10:09米原発、木ノ本10:52着のSL北びわこ号に乗りました。幼稚園前のちびっ子と保護者でいっぱい。鳴り響く汽笛を録音しようとした彼も、周囲の歓声に負けました。北海道の千歳空港から札幌まで乗った電車の「音だけ汽笛」もなかなか良かったし、心地よいものは不便で、人類はいろいろ捨てて進んで行くのだなあと感慨深かった熟熟年なのでした。


C56 160、愛称ポニー。昭和10年から14年にかけて造られていた。
米原駅5番ホームの彦根方向遠くの引込み線or待避線に、SLが煙を上げてずーーっと待機しているのが見える。「待て暫し」状態。その前に5番ホームでは、北陸本線の列車の接続があるのだ。
  
終点米原で折り返す前部の車両に、彦根方向から後部の車両がやってきてガタンと合体。踏み板やら、壁やら、ジャバラやらが現れ、あっという間に、何事も無かったかのような普通の列車になって敦賀・福井に向けて出発して行きました。
いよいよ C56 160 の入線。ここで素人としては、SL北びわこ号北陸本線なの?と妙に感心してしまいました。大好きな車輪は、残念ながらホームからはよく見えません。あの大小の輪の組合せと回転する軸が好き。
  
屋根では黒い煙と白い蒸気が上っています。子供の頃、石炭が完全燃焼すると白い煙になるのだと思っていました。蒸気機関車の「蒸気」は下の方でもやもやしているのだと思い込んでいた。
シュッシュッ、がたん、がたん、という始動の揺れ具合が蒸気機関車の味。レールの継ぎ目の時間が短くなる感覚、走り始めたという実感は期待と同義語かも。地鳴りのするような汽笛に水田も木も山も生き生きする感じ。しかーし沿線のお宅に黒煙が。。。それでも皆様手を振って下さって、楽しい。湖側の席でしたが、琵琶湖はあるけれど見えないという景色でした。でも、田植の終わった水田に畦道が際立ってすてき。
    
撮り鉄の皆様は、草陰に突然いたり、畦に並んでいたり、目が慣れるとまず駐車した車が見えて近くに絶対居るとわかったり、上り坂でSLが頑張る所では文字通り目白押しで、さ・す・が・だったり、職員の多さや、SLに係るすべてが面白い。


終点「木ノ本駅」で「撮影会」(人に囲まれたSLを見る会)に気を取られている間に、5両編成最後尾の「スハフ12 129」のディーゼルの動力を持つ客車に黒(深緑?)に黄色の線の入った電気機関車が接続されていました。そして、「スハフ12 129」のエンジンの音が一際高くなり、いよいよか?という臨場感。

電気機関車がビーンと警笛を鳴らし、C56がボーッと応えて、ゆっくりゆくり列車は後ろ向きに動き始め、青い客車が過ぎ、石炭車が過ぎ、蒸気機関車が薄い煙を“あり得ない方向”になびかせながら過ぎ、小さく見えなくなりました。お能の羽衣の小書で、天人が面をずっとこちらに向けたまま後ずさりで去って行くのと同じ。背中を見るより、何か終わっていないような不思議な余韻があります。何とのうもの哀し。またねー!
    


客車が青い近代のもので、すこーし残念な気もしていたのですが、実際に乗って、また12系の動力のある客車で唯一の?保存個体とか、いろいろ周辺情報にほだされ、情が移り、愛着が湧きました。
     


★ところで、上り坂で、ディーゼルエンジンさんは、密かにお手伝いしたのでしょうか?次なる研究課題です。